【vol. 50】垣根がない、が、秩序のある「ゆるさ」ーOne Fukuoka
- sugiura909
- 6月19日
- 読了時間: 2分
更新日:6月23日
最新の都心型の複合商業施設、ワン福岡やグラングリーン大阪などに共通して感じることがある。
それは、店舗と通路の境目があまり感じられないこと。
ワン福岡に関しては、意識的なデザインだと思われる。床のデザインが通路にはみ出たり、共通の素材だったり、天井照明も店内のものが通路にはみ出たりしている。店舗のイメージがフロアに拡張されるとともに、全体の空間的な閉塞感をなくす施策だと思われる。

都心の再開発の構造は、概ね、低層部が商業、中間部がオフィス、上層部がホテル、といったコンプレックスが定番である。開発コストと回収効率の兼ね合いから、この縦済み構造になる。すると、上層へ上げるためのエレベーターシャフトなど、低層部にもどうしてもコアな部分が必要で、それ以外の部分が商業施設エリアになる。つまり、真ん中のない、額縁のようなフロア形状になる。ぐるっと回る動線を取るも、通路幅はせいぜい3m程度。それぞれの店舗がファサードで囲むとかなりの閉塞感となる。
それに、追い打ちをかけるのが、ここのところの工事費の高騰である。床や天井は共有することでコストを抑えつつ、什器や商品でその世界観を広げ、間口は大きく開いた状態で、抵抗なくアプローチできる、ゆるやかな関係性が生まれる。垣根はないが、デザインコントロールが効いているので、秩序は乱れない。ある一定のクオリティが担保される。

はっと、気づいた。百貨店に近い。
大きな1店舗である百貨店の中のゾーニングと、多数のお店が集まったテナントビルでは、店の内装の権利関係の構造が違うのだが、そもそも、お客様にとってはどちらも関係ない話だ。
いかにストレスないかどうか、居心地がいいかどうか、そのことに今一度、真摯に向きあいたい。